K猫のDENファン日記

NFLデンバーブロンコスのファンブログです! その他にもドラフトやFA、プレイ解説も行っています!

Category:レギュラーシーズン > ロサンゼルスラムズ


・後半に強いCIN攻撃に、前半とは打って変わってまともなオフェンスを展開させなかったLAR守備。その対策を見ていきます


DT A'Shawn Robinsonは1stダウンに現れる
   
LARにとって望ましくない展開に、CINのラン攻撃が機能することがありました。Chase, Higgins, BoydのWRトリオだけでも厄介なのに、ここにJoe Mixonのランまで加わればCINオフェンスがやりたい放題できるからです
   ラン守備への回答はDT A'Shawn Robinsonでした。アラバマ出身の巨漢DTであり、LARのDTでは最もラン守備に長けた選手です。そんな彼は1stダウンと、2nd&3rdのショートヤードでのみ登場しました。露骨なランメタですね
   CINの1stダウンは50%以上の確率でランというのが、このプレイオフの鉄則でした。それに合わせてRobinsonを投入した訳ですが、彼が4Qになっても1stダウンで出場していたので、傾向は変わらなかったのでしょう。事実、ランは多かったです
   そんなRobinsonのハイライトは1stシリーズの2nd&2と3rd&1でしたね。CINのプレイコールが悪いですが、DC Raheem Morrisとしてはしてやったりと言うところでしょう

   
完封された前半と、爆発した後半
   CINのOLにとって最大の課題はDT Aaron Donaldをどうやって止めるかでした。CINのOLはDonaldがOGとマッチアップする特性を利用して、OG+CでDonaldに対応するダブルチームを使用しました。そして、これにより前半のDonaldは19回のパスラッシュで1回のプレッシャーのみと沈黙したのです
   しかし、これに対してLAR側も対応をします。4メンラッシュを減らし、5メンラッシュを増やしました。1人増やして効果あるの?と思うかもしれませんが、これが効果抜群でした
   基本はCの正面にLBないしDTを配置した訳ですが、これによりC Trey HopkinsはOGへのヘルプを積極的に行うことが出来なくなりました。1対1ならAaron Donaldは現役最強ですから、あとは勝手にポケットが潰れました
   更に、クロススタンツの使用も増やしました。CINのOLは責任が曖昧であり、特にパスプロの受け渡しが酷かったです。1vs2が出来上がっていたり、スイッチが遅れて抜けられたりなど、Burrowの足を引っ張りました。TEN戦でバレていた弱点はついぞや直らずでした


たぶん3WR相手はやりやすかった
   CINは基本的に3WR(Chase, Higgins, Boyd)+ Mixonを基本形にTE(Sample or Uzomah)を投入していました。たぶん、この体型はLARにとって最も守りやすい体型でした
   LARは4-2-5, 5-1-5, 4-1-6をメインで使っていました。増えるDLは基本的にA'Shawn Robinsonなのは上で書いた通りです。では、LBとDBは?
   この試合のスナップカウントを見ると、LBはErnest Jones(#50)がメイン、Troy Reeder(#51)がサブでした。DBは
CB3人Jalen Ramsey(#5)Darius Williams(#11)David Long(#22)
S2人Nick Scott(#33)Eric Weddle(#20)
の5人が基本で、S Taylor Rapp(#24)がサブで投入されていました。   このサブのTroy ReederとTaylor Rappが問題でした。Reederはスピードに難があり、Rappはカバースキルに難がありました。端的に言えば、両者ともTEカバーは割と苦手だったのです。Ernest Jonesがブリッツ+RBカバーでしたので、このReederかRappを長くフィールドに残すほどCINは有利なマッチアップが増えた可能性があります。   CIN側としては、David Longの代わりにRapp or Reederを引きずり出せるTEが欲しかったですね。しかし、怪我明けのUzomahがノーインパクト、ブロッキング専門と化しているDrew Sampleでは望むことも出来なかったです

まとめ   守備側のアプローチから見ても、CINはあまりプレイコールの構成も、傾向も変えていませんね。あのマンパワーがあるならば、傾向が変わっただけでだいぶLAR守備は苦労しましたが…   LARとしては、ラン守備要員Robinsonの活躍、復帰したスピードのあるJonesの活躍、CINがメンバーを固定してくれたことでベストメンバーを常にフィールドに送れたことが、後半のシャットアウトに繋がり、勝利の要因になったと言えます。   試合中のアジャストはラッシュ人数の増加くらいですが、事前準備がほぼ完璧だったことで、対処すべき問題が少なかったとも言えます。流石ですね
   この記事を持ちまして、とりあえずSB解説は終わりになります。時間かかりましたが、読んでくださり、ありがとうございました。今後はドラフトブログになります。なるべく、初見の方、カレッジ見たことない方にもわかりやすく書く予定です。   また、noteを用いてドラフト名鑑を作成する予定です。大それたものではありませんが、各チームのニーズ+各ポジションの有力選手をピックアップした記事を書ければな〜と構想しています。そちらも気長にお待ちください。とりあえずFA解禁までは出回りません   1日1モックはこちらK猫のDENファン日記で毎日公開予定です。noteの方にもコピべするかもしれませんが、混ざるのも面倒なのでリンク貼るだけかもしれません。ここら辺は未定です   長々と書きましたが、今年度も当ブログを読んでくださりありがとうございました。以前ほどの投稿頻度には戻りませんでしたが、読んでくださる皆さんのお陰で今年も続けることが出来ました。ドラフトもよろしくお願いします
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・それでは後編です。OBJが怪我してから見ていきます


OBJの怪我による変化
   OBJの怪我はLARの攻撃陣に打撃を与えたことは明白でした。前半だけで50ヤード超えのWRを失っているので当たり前ではあります
   LARは試合中に、OBJの代わりにオフェンスの組み立てに寄与できる選手を探し始めました。Cooper Kuppという絶対的な軸に頼りきるのではなく、あと30分以上あるからこそ、他の可能性を探すことを選択しました
   最初の候補はVan Jefferson(#12)でした。試合時点での3番手でありました。しかし、Jeffersonは2度のロングパスのターゲットになるも、キャッチ出来ませんでした。オープンのターゲットならまだしも、競り合いでは活躍できませんでした。#18のBen Skowronekはクオリティーが足りていませんでした。#88 TE Brycen Hopkinsはいくつかキャッチしましたが、散発的なものでした
   このことから、McVayはOBJの代役は誰にも務まらないことを感じ取ったはずです。そして、試合時間が減る中で大きな決断を下します


McVayの決断、戦術Kupp
   何とかKupp以外の選手を軸にボールを進めようとしたLARでしたが、ほぼ無理なまま4Qの残り6分ほどになります。ここからMcVayは実験を諦め、Kuppにボールを集めはじめます。全8キャッチのうち4つはこのドライブですからね。更にギャンブルでのジェット、反則2つ誘引とKuppがほとんどボールを進めました
   前述の通り、戦術Kuppに頼らない方法をMcVayは探していました。なぜならば、試合を通してKuppは多くの場面でダブルチームされており、彼に投げることはINTのリスクを高める可能性があったからです。
   それでも、勝つためにはKuppにボールを集めるしかないという決断でした。勝利というリターンのために必要なことでした
   結果はTDであり、KuppはSBMVPに輝きます。トリプルクラウン(レシーブヤード、TD、キャッチ数全てでNFL1位)たる実力を発揮したのは流石でしたね。Logan WilsonのホールディングはCINにとっては不運なものでした(あれはホールディングではないです。その1つ前がホールディングでしょう。帳尻合わせではないかと考えています)。Eli AppleのDPIは明らかなので仕方ないですけどね…攻め込まれた時点で止めるのは困難でしたね


まとめ
   戦前の予想に反してゾーンランは試合を通して使われました。ボックスの人数が増えたことで後半は通用しませんでしたが、試合序盤は効果的でした。TEではなく、WRを上手く使いましたね
   McVayの準備としてはアンダーゾーンの使い方でしょう。OBJの怪我で破綻しましたけども。彼が健康ならもう少し楽な展開だったでしょうか
   それ以上にMcVayの采配で感心したのは、直前までKupp以外の可能性を探ったことです。CINが加点をすれば絶望的になる状況でしたが、守備を信じて安易に戦術Kuppに飛びつかない我慢は見事だったと考えています。
   結論としては、事前準備以上にMcVayの胆力が光った試合だったと考えています。試合トータルで考え、試合終了で勝つためにはどうするのが最善なのか、そこまで考えての決断でしょう。負けていれば後半は無策だったと批判されますが、そのリスクを背負って決断したこと、選手が遂行しきったところに、LARがSBを制覇した理由を見ました。
   SB53でMcVayは、NEに自分が用意した全てを粉々に打ち砕かれ、茫然自失としていました。あれから3年、アクシデントも悪い流れも全てに対処した今回のSBにMcVayの成長と真価を見ました。決して見どころの多い試合ではありませんでしたが、個人としては大変満足なSBでした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。SBに関する投稿はあといくつか続きますので、合わせて読んでいただければ幸いです。
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・Twitterで宣言した通り、SB分析を連投していきます。1週間以内に全部終わればいいなーなんて思っています。週末に改めて見返す人もいるでしょうから、その時の参考になりそうなものから書いていきます

・長くなったので前後編に分けます

Sean McVayに関する前提知識
   とりあえず知識がたりから。Sean McVayはKyle Shanahanの元でTEコーチをしていました(@WAS)。その後KyleがATL→SFへ栄転する中でWASに留まり、HC Jay Grudenの時にOCにまで出世します。3シーズンをOCとして過ごした後、LARのHCに就任しました。
   McVayのオフェンスマインドは、Kyle Shanahanから影響を受けています。Shanahanといえば父親Mikeから続くアウトサイドゾーン+ブーツレッグ(PAの1種、ロールアウト系統。詳しくはまた今度)というシンプルなプレイを基本としています。McVayはこのスタイルを踏襲しています。
   31歳でHCに就任し、ここまで順風満帆だったMcVayですが、2018年に挫折を味わいます。SB53でNEに完膚なきまでに叩きのめされたのです。この年のLARは強いOLと絶好調のRB Todd Gurleyを軸に圧倒的な得点力を誇っていました。しかし、SBではわずか3得点で敗れました。NEの完璧なMcVay対策に全く対応できず、点差以上の完敗でした


これを踏まえてMcVayのマインドプレビュー
SB53はMcVayに色々なものを教えたと考えています。その中でも大事なものは2つあります

1、RSと同じプレイだけでは通用しない
2、SBは準備の段階で戦えるか決まる

   ここまでがSB前までのMcVayマインドになります。それを踏まえて、LARのオフェンスは何がシーズンと同じであり、何が違ったのか。なぜその戦い方を選択したのか。それを分析していきます


McVayのプレイコールレビュー
   Sean McVayの基本スタイルは、下の図のようなプレイにあります。
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   しかし、この戦術を採用する可能性は低いと考えました。理由としては、
1、TE Higbeeの欠場
2、CINのDLが強いこと
   このプレイで大事になるのはTE(図の右から3人目)なのですが、LARのメインTEであるTyler Higbeeなのですが、彼は膝の怪我で欠場が確定していました。また、CINオフェンスはLV, KCとOLの強いチームのランを止めてきました。この2点から、LARは基本のアウトサイドゾーン+ブーツレッグは少なくすると予想しました。


試合検証〜キックオフ〜
   前半は予想に反して、ラン+ブーツレッグが機能していました。ただしTEではなく、Cooper KuppをSEに入れて、アウトサイドのOBJをフィールド中央に配置するパターンが多く見られました。このパターンはKuppのTDに繋がりました。お手本のようなPAからコーナールートを走るKuppにボールをヒットしました。
   この他にも、OBJ vs スロットのミスマッチ狙いもありました。それに加えて、OBJにクロスルートを走らせることで、アンダーゾーンのスペースを使う狙いもありました。CINの守備は距離の短いパスに対しては、キャッチ後にタックルする方針でしたので、スペースは空いていました。そこをスピードがあって、RACの上手なOBJに利用させようという狙いでした。
IMG_5769

IMG_5768
ゾーンについてはこちらを参考に(insideoutさんのHPから引用)
https://insideout-football.info/blog/2021/03/24/cover-3/




後半に続く
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