・NFLも開幕して早くも3週間が経ちました。近年稀に見る大豊作と謳われたルーキーQBたちの1ヶ月を見ていきます
Trevor Lawrence
Freshman(大学1年生)から将来の全体1位と言われてきました。そして本当に全体1位で指名されるのですから、彼の能力の高さが分かります。高校では負け無し。カレッジでも3年間で2敗のみと勝負強かったLawrenceですが、NFLではここまで0勝3敗と苦戦が続いています。
Lawrenceのカレッジと現在を比較すると、圧倒的にランの脅威が減少しています。カレッジではTravis Etienneのランだけでなく、彼とのオプションで自身も走っていました。これらの脅威に対応する必要があったために、その裏で使うPAが有効的でした。
しかしながら、ここまでのJAXはパス118回に対してラン61回の試行となっています。ランの平均は5.1ヤード獲得にも関わらずです。このようにパス偏重の攻撃がLawrence苦戦の原因の一端です
とはいえ、毎試合素晴らしいパスも通しています。各試合で決めたTDはDBが決して防げないところへドンピシャのボールを運んでいます。そのようなプレイが増えてくれば…というのが今後の目標でしょう
Zach Wilson
開幕から3連敗のみならず、Week3には完封負けを喫しました。頼みのLT Mekhai Bectonが怪我で離脱したり、CのConnor McGovernが怪我したりと不運な部分もありますが、ここまでは大苦戦しています。
Zach Wilsonが昨年のカレッジで評価されていたのはディープボールです。成功率が高いだけでなく、TDに繋がりINTをされませんでした。
しかしNFLでは最長40ヤードのパスだけであり、基本はショートパス主体になっています。NE戦で4INT、DEN戦で2INTされているように、ショートパス戦術が有効とも言えません。
Wilsonが苦戦していることは2つです。1つはプレッシャーを感じて自分のタイミングを取れていないこと。2つ目はゾーンカバーを読めなくてDBにボールを狙われていることです。
レベルの低いカレッジではオープンになったレシーバーに投げれば良かったのですが、NFLではわざと空けている場合もあります。そういった際にボールを奪われていますね。
Justin Fields
NFLで先発する準備が出来ていませんでした。これは彼だけの問題ではありません。チームとしてゲームプランが酷かったので、彼にとって酷でした。
元からポケットワークが良くはないですが、OLがCLEのDLを止めれませんでした。それもあり、フリーズしてサックされたり、逃げきれない場面が多かったです。
Mac Jones
NEとのシステム親和性が高いことから上位で指名しました。ここまではドラフト時の懸念が表に出ています
ドラフト時の懸念はプレッシャー耐性が高くないことで、現在はプレッシャーがかかると高い確率でプレイが壊れています。特に正面からのプレッシャーに対して下がってしまうので、エッジラッシャーからのプレッシャーも受けています。正面からのプレッシャーに対して上手に距離をとる事が今後の課題でしょう
また、パスターゲットも1stにお行儀よく投げています。まだ切り替えするだけの余裕は感じられませんね。実践を通して成長を促すのでしょうが、それでも時間はかかるでしょう
Trey Lance
プレシーズンレベルでパスが通らないのですから、シーズン開始から活躍するのが難しいのはわかっていました。今シーズンはGaroppoloの怪我がなければスポット起用に留まるでしょう。
パスタッチ、コントロール共に成長するであろう、来年が本番です
Davis Mils
この時期に出てくる選手ではなかっただけに、まだ未熟ですね。とはいえ、コーチ陣の指示があったとはいえ、初先発にして纏めてきたのは評価されることです。あとは、小さく纏まるかどうか。スケールの問題です
共通の問題
全員ポケットの潰れ方が悪いんですよね。パスプロテクションは馬蹄パイ、またはINDのロゴのようなU字型が理想です。しかしながら、ルーキーQBたちは〇や凹の字に近いポケットの中でプレイする場面が多く見られます。
〇の場合はOTがエッジラッシャーを奥に流せなく、QBに向かってプレイされていることを意味します。受け止めれなく、流せない。そのためプレッシャーがかかるのです。このパターンは近くて早い位置にパスラッシャーがいるので、焦りが大きくなります
凹の字はOG,Cが潰れています。ポケットが潰れた結果、後ろに下がりエッジからのプレッシャーも受ける悪循環です。スタンツへやブリッツ対応の悪さが原因になりますね
全体的にエッジにサックされる場面が多いので、OTに問題があるのでしょう
まとめ
全員NFLとカレッジのギャップに苦しんでいます。カバーリードのミスだけでなく、焦りから不用意なパスを投げる場面もありますね。中々ポケットで落ち着けていません。
NFLのQBはやることが多いです。この壁に直面しながら乗り越えることができるか?それが今後の注目ポイントです。全てではなくても、1つでも多く課題を克服して欲しいです。もちろん、その過程には痛みも伴いますし、不名誉な記録やメディアからのバッシングもあるでしょう。しかし、それら全てを乗り越えてこそのプロです。頑張って欲しいですね
最後に、ファンの皆様にお伝えしたいのは、現在の姿に落ち込んだり、悲観する必要はないということです。Peyton Manningは1年目28INTを投げて3-13でした。Troy Aikmanは1-15でした。Josh Allenもパス成功率は60%ありませんでした。Patrick MahomesやTom Bradyが活躍したのは2年目のシーズンからです。大事なのは現実に向き合って成長することです。痛みを伴うものですが、彼らのポテンシャルの大きさに期待して、めげずに応援してください。まだ判断を下す時ではないです