K猫のDENファン日記

NFLデンバーブロンコスのファンブログです! その他にもドラフトやFA、プレイ解説も行っています!

Category:FAまとめ > 2022オフシーズン


・久しぶりの投稿になります。各チームの分析をしたり、FAマーケットについて書くことが特に無かったことで更新してませんでした。今日はWatsonトレードについて、CLE側にフォーカスして状況分析していきたいと思います


前提知識
   今回のトレードはCLE, HOU, Watson三者の思惑が絡んでいます。全部吟味すると膨大になるので、CLEに関係する要因だけをピックアップして行きます。
   CLE側としては、
「ここ数年でBaker MayfieldではPOに進出し、SBに勝利することが難しいと考えた。だからチャンスがあるならQB交代を行おう」
   という思惑を感じるトレードでした。そこで、MayfieldはダメでWatsonがOKだった理由を、成績などのデータを基に考えていきます。


   データはNFLデータベース最強のPro Football Referenceから(https://www.pro-football-reference.com/players/M/MayfBa00.htm)

   
Baker Mayfieldの長所・短所
長所
・類まれなるリーダーシップ
・かなり強いメンタリティー
短所
・パス成功率の低さ
・TD/INTが悪い
・勝率

   Mayfieldの長所はその行動にあります。ドラスト前には、「勝ちたいなら俺を指名しろ」と言い、どっかの誰かとは器の違いを見せました。NFL入り後も、1年目からチームをPO争いに、3年目にはPO進出に導きました。CLEは長らく低迷が続いたのですが、Mayfield獲得からはチームカルチャーの変化を感じさせました。
   短所はプレイヤーとしてのレベルです。ドラフト時点から言われていましたが、Mayfieldのプレイヤーとしての天井は高くないです。身長の低さも多少は関係あるでしょうが、それ以上にOTのパフォーマンスにかなり左右されています。POに行った2020年は、RT Jack Conklinがオールプロ、LT Jedrick Willsが高い安定感を示していました。

 DeShaun Watsonの長所・短所
長所
・2度のPO進出
・Mahomes, Herbertと比較されるレベル
短所
・個人的な問題で民事訴訟を受けている
・NFLから出場停止などの制裁を受ける可能性が高い

   Watsonは試合に出ればリーグ有数の若いQBです。同じドラフトにMahomesという例外がいるだけで、4年で2度のPO出場は充分素晴らしい実績です。HOUが彼に期待し、大型契約を与えたのは当然のことでした
   問題は2020年のオフシーズンに起こります。Watsonは女性問題から22人もの女性に民事訴訟を起こされます。また、そこに事件性がある可能性があったため、警察の捜査も受けました。それもあり、昨年はサラリーを受け取りながら全休していました。


MayfieldとWatsonの比較
   MayfieldのWatsonを比較していきました。人間性に関してはMayfieldが圧勝です。議論の余地もありません。ですので、比べるのはプレイヤーとしての実力です
   Mayfieldの欠点でも書きましたが、パス成功率とTD/INTレートが違います。

Baker Mayfield  61.6%, 92TD, 56INT(60G)
DeShaun Watson 67.8%, 104TD, 36INT(54G)

   奇しくも同じ4年間、試合数も同じくらいでした。比較すればわかりますが、プレイヤーとしてはWatsonが圧勝ですね。因みに、下に似たようなキャリア年数のQBたちを比較として出しておきます。
   
Patrick Mahomes 66.1%, 151TD, 37INT(63G)
Josh Allen   62.3%, 103TD, 46INT(61G)
Lamar Jackson    64.1%, 84TD, 31INT(58G)
Mitch Trubisky  64.1%, 64TD, 38INT(57G)
Sam Darnold   59.8%, 54TD, 52INT(50G)

   昨年CHIで先発失格となったMitch TrubiskyはTD/INTが1.68、Mayfieldが1.64です。Mahomes,Allen, Lamarに関しては言うまでもありません。そう考えると、Mayfieldは先発QBとしてクオリティー不足と捉えることが出来そうです。Watsonは2.89とかなりエリートな数字をしています。
   また、POもMayfieldが4年で1回に対して、Watsonは4年で2回出ています。実績でもWatsonが勝っています。


CLE経営陣の視点から考える
   さて、長くなりましたが本題です。CLEの経営陣がなぜ決断したのか、上のデータを使って考察していきます。
   一番の理由はプレイヤーとしての質でしょう。データを並べたようにWatsonはMayfieldより確実に上のQBです。そういうQBが取れるチャンスに飛びついたと言えます。POを勝つ上でQBの質が大事なのは昨年のTB, 今年のLARが証明しています。
   しかし、それだけでは理由として弱いです。他の要素としてはRSでの勝率=PO進出率、そしてSB進出率が上がることが考えられます。Mayfieldの4年間は6-7, 6-10, 11-5, 6-8で、Watsonは3-3, 11-5, 10-5, 4-12です。Mayfieldは負け越し3回であり、Watsonは負け越し1回です。POへの進出回数もWatsonが上です。この要素は、無視できないと考えています。


まとめ
   今回はCLE経営陣の視点から考察してみました。Mayfieldからアップグレードできるから、Watsonに飛びついたと言えますね。その動機は理解できます。やはりQBとしての質は重要ですからね。ドラフトでQBガチャするのは大変ですから、確実な手段を選んだのでしょう
   勘違いして欲しくないのは、CLEのとった手段や払った対価、Watsonとの新契約の内容は一切考慮していないことです。これらは全部後手に回っているので悪手だと捉えていますが、それは別の問題です。今回の分析で考える問題ではないです
   また、同様にファンの心理も無視しています。議論を簡略化し、CLE経営陣の視点にフォーカスしています。そこもご了承ください
   他に考慮した理由があると考えている方いましたら、コメントください。
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・今回はCarson Wentz, Khalil Mack両者のトレードについて分析していきたいと思います。Russell Wilsonに関しましては、自分の応援するチームなのでまた別に掲載予定です


Carson Wentzトレード
1、概要
   Indianapolis ColtsのQB Carson WentzがWashington Commandersにトレードされました。昨年Philadelphia EaglesからトレードされたWentzですが、2年連続で所属チームが変化することになりました。

IND獲得
2022年2巡、2022年3巡、2023年2巡(Wentzが70%以上プレイする条件つき)

WAS獲得
QB Carson Wentz、2022年2巡


2、バリュー評価
   ごちゃごちゃ書いたのですが、結局Wentzはどのくらいの価値を見られていたの?というのが問題になります。
   まず、両者ともに2022年の2巡指名権を交換しています。WASは42位、INDは47位を持っていました。5ピックの差なので同価値と見積もります。次に条件付きの2023年のドラフト指名権ですが、2巡をINDが受け取ると仮定します。その場合、2023年の2巡は2022年の3巡と同程度のバリューです(翌年の順位は確定していないため、1ラウンド低く見積もられます)。
   そう考えると、Wentz←→2022年の3巡2つでトレードが成立したと考えることが出来ます。
   

3、Wentzのバリューの変化
   前年にもトレードされたWentzですので、ここでは1年間でのバリューの変化を見ていきます。指名権のバリューはdrafttekというサイトを参考にしています。( https://www.drafttek.com/NFL-Trade-Value-Chart.asp )
   まず2021年にPHI→INDの際は2021年3巡+2022年の1巡という条件になりました。2021年の3巡84位、2022年の1巡は16位で、これをバリューチャートに当てはめると170+1000=1170となります。
   次に2022年のトレードですが、上で記したように3巡2つ分の価値と想定しています。WASの3巡が73位なので、これ2つ分とすると225×2=450となります。
   これにより、Wentzのトレードバリューは1170→450と大暴落しています。因みにですが、今年のWASがもつ1巡11位のバリューが1250ですので、価値が落ちていなければ1巡が絡むトレードになった可能性が高いです

5、結論
   INDはPO逃した責任の多くはWentzにあるので損切りに走ったトレード、WASは先発できるQBを安く獲得できたという構図になります。Wentzはリーダーシップにも問題があったなどという話もあり、そう単純ではないですけども
   他方でWentzは株の下がり方が止まりませんね。ドラフト時のバリューは2600、3年目の2017年にはMVP候補でもありました。しかし、そこから4年でバリューが半分になり、更にもう1年で1/4です。このままジャーニーマンになるかもしれませんね


Khalil Mack トレード
1、概要
   CHIのプロボウルDE Khalil MackがLACにトレードされました。これでLACはJoey BosaとMackのパスラッシュデュオを抱えることになります。

CHI獲得
2022年2巡、2023年6巡

LAC獲得
DE Khalil Mack

2、バリュー評価
   先程と同様にバリュー評価をしていきます。2023年の6巡は2022年の7巡と同じ価値と仮定し、今回は評価の対象には含めません。そのため、Mack←→2022年の2巡が実質のトレード内容です
   LACの2022年の2巡は48位になるので、バリューは420になります。これをどう評価するかは難しいですが、昨年DEN→LARに半期だけトレードされたVon Millerのバリューが270+116=386なので、まぁ妥当な価値ではないでしょうか


3、両チームのトレードの原因を探る
   CHI側はサラリーキャップの削減が目的だったと考えることが出来ます。Mackをトレードしたことで20M近いサラリーキャップの猶予を作ることが出来ました。ILB Roquan SmithやらRB Djvrd Montgomeryなど主要な選手のFAが近いです。彼らとの契約資金を早く確保しました。また、Mackはこれからバリューが落ちていきます。売れる最後のチャンスだったとも考えることが出来ます
   LAC側としては、まずDEがニーズだったことが挙げられます。同時にDT, LB, CBとLACはニーズが多いです。FAでDEは多く市場に出てきますが、サラリー高騰が予測されます。それであれば、即戦力を取るのが難しい2巡を使用して先に確保することで、FAとドラフトに柔軟性を持たせることが可能になります。

4、Khalil Mackは活躍するのか?
   結局Mackは活躍できるのか?それが全て大事なポイントになります。
   プロ入りから2020年まで毎年プロボウルに選ばれているのは素晴らしいですね。昨年は7試合の出場でしたが6サックを記録しました。昨年のような活躍が出来れば当たりですね
   まず年齢が31歳であり、残り3年の契約を全うすると34歳となります。この問題はネックになります。次に直近3年間で1度も2桁サックしていないことです。逆サイドのDEがなかなか活躍出来なかった問題もありますが、16試合に出場しても2桁を記録出来なくなっているのは懸念点です。


5、結論
   知名度でPBに選ばれたりしていますが、3年前から成績の下降が見られること、31歳という年齢、怪我明けと不安要素もあります。しかし、このレベルのDEをドラフトで取ることは難しく、またFAで獲得したならば22M前後のサラリーにはなりません。トータルで考えるならばLACは良い動きをしたと言えるでしょう


まとめ
   WASはRussell Wilsonにもオファーを出していました。QBの獲得が喫緊の課題であり、ドラフト11番目にはバリューに足りるQBがいなかったので、Wentzトレードに踏み切ったと考えられます。
   INDはWentzトレードがミスだったと認めているようです。Jimmy Garoppoloの獲得に動くのでは?などと色々な噂がありますね。どのような決断をするのかに注目です
   LACはDE獲得は良かったです。あとは期待通りの活躍をするかどうかですね。近年のLAC守備はネームバリュー重視でベテランを補強しては、期待はずれの活躍が続いています。この流れが続いてしまうのかどうか
   CHIは不良債権になる可能性のあるMackを高く売ることに成功しました。Justin Fieldsという軸がいますので、彼の周りを固めていくことが考えられます。同時に若返りも図りたい意図も持っていると考えられます
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