・久しぶりの投稿になります。各チームの分析をしたり、FAマーケットについて書くことが特に無かったことで更新してませんでした。今日はWatsonトレードについて、CLE側にフォーカスして状況分析していきたいと思います
前提知識
今回のトレードはCLE, HOU, Watson三者の思惑が絡んでいます。全部吟味すると膨大になるので、CLEに関係する要因だけをピックアップして行きます。
CLE側としては、
「ここ数年でBaker MayfieldではPOに進出し、SBに勝利することが難しいと考えた。だからチャンスがあるならQB交代を行おう」という思惑を感じるトレードでした。そこで、MayfieldはダメでWatsonがOKだった理由を、成績などのデータを基に考えていきます。
データはNFLデータベース最強のPro Football Referenceから(https://www.pro-football-reference.com/players/M/MayfBa00.htm)
Baker Mayfieldの長所・短所
長所
・類まれなるリーダーシップ
・かなり強いメンタリティー
短所
・パス成功率の低さ
・TD/INTが悪い
・勝率
Mayfieldの長所はその行動にあります。ドラスト前には、「勝ちたいなら俺を指名しろ」と言い、どっかの誰かとは器の違いを見せました。NFL入り後も、1年目からチームをPO争いに、3年目にはPO進出に導きました。CLEは長らく低迷が続いたのですが、Mayfield獲得からはチームカルチャーの変化を感じさせました。
短所はプレイヤーとしてのレベルです。ドラフト時点から言われていましたが、Mayfieldのプレイヤーとしての天井は高くないです。身長の低さも多少は関係あるでしょうが、それ以上にOTのパフォーマンスにかなり左右されています。POに行った2020年は、RT Jack Conklinがオールプロ、LT Jedrick Willsが高い安定感を示していました。
DeShaun Watsonの長所・短所
長所
・2度のPO進出
・Mahomes, Herbertと比較されるレベル
短所
・個人的な問題で民事訴訟を受けている
・NFLから出場停止などの制裁を受ける可能性が高い
Watsonは試合に出ればリーグ有数の若いQBです。同じドラフトにMahomesという例外がいるだけで、4年で2度のPO出場は充分素晴らしい実績です。HOUが彼に期待し、大型契約を与えたのは当然のことでした
問題は2020年のオフシーズンに起こります。Watsonは女性問題から22人もの女性に民事訴訟を起こされます。また、そこに事件性がある可能性があったため、警察の捜査も受けました。それもあり、昨年はサラリーを受け取りながら全休していました。
MayfieldとWatsonの比較
MayfieldのWatsonを比較していきました。人間性に関してはMayfieldが圧勝です。議論の余地もありません。ですので、比べるのはプレイヤーとしての実力です
Mayfieldの欠点でも書きましたが、パス成功率とTD/INTレートが違います。
Baker Mayfield 61.6%, 92TD, 56INT(60G)
DeShaun Watson 67.8%, 104TD, 36INT(54G)
奇しくも同じ4年間、試合数も同じくらいでした。比較すればわかりますが、プレイヤーとしてはWatsonが圧勝ですね。因みに、下に似たようなキャリア年数のQBたちを比較として出しておきます。
Patrick Mahomes 66.1%, 151TD, 37INT(63G)
Josh Allen 62.3%, 103TD, 46INT(61G)
Lamar Jackson 64.1%, 84TD, 31INT(58G)
Mitch Trubisky 64.1%, 64TD, 38INT(57G)
Sam Darnold 59.8%, 54TD, 52INT(50G)
昨年CHIで先発失格となったMitch TrubiskyはTD/INTが1.68、Mayfieldが1.64です。Mahomes,Allen, Lamarに関しては言うまでもありません。そう考えると、Mayfieldは先発QBとしてクオリティー不足と捉えることが出来そうです。Watsonは2.89とかなりエリートな数字をしています。
また、POもMayfieldが4年で1回に対して、Watsonは4年で2回出ています。実績でもWatsonが勝っています。
CLE経営陣の視点から考える
さて、長くなりましたが本題です。CLEの経営陣がなぜ決断したのか、上のデータを使って考察していきます。
一番の理由はプレイヤーとしての質でしょう。データを並べたようにWatsonはMayfieldより確実に上のQBです。そういうQBが取れるチャンスに飛びついたと言えます。POを勝つ上でQBの質が大事なのは昨年のTB, 今年のLARが証明しています。
しかし、それだけでは理由として弱いです。他の要素としてはRSでの勝率=PO進出率、そしてSB進出率が上がることが考えられます。Mayfieldの4年間は6-7, 6-10, 11-5, 6-8で、Watsonは3-3, 11-5, 10-5, 4-12です。Mayfieldは負け越し3回であり、Watsonは負け越し1回です。POへの進出回数もWatsonが上です。この要素は、無視できないと考えています。
まとめ
今回はCLE経営陣の視点から考察してみました。Mayfieldからアップグレードできるから、Watsonに飛びついたと言えますね。その動機は理解できます。やはりQBとしての質は重要ですからね。ドラフトでQBガチャするのは大変ですから、確実な手段を選んだのでしょう
勘違いして欲しくないのは、CLEのとった手段や払った対価、Watsonとの新契約の内容は一切考慮していないことです。これらは全部後手に回っているので悪手だと捉えていますが、それは別の問題です。今回の分析で考える問題ではないです
また、同様にファンの心理も無視しています。議論を簡略化し、CLE経営陣の視点にフォーカスしています。そこもご了承ください
他に考慮した理由があると考えている方いましたら、コメントください。