・試合は破壊されてしまった


審判が悪かった
   あまり大きな声で批判するべきではないのかもしれませんが、この試合における審判は明らかに酷かったです。審判の存在意義として、試合を円滑に進行するものがあります。これについて批判されることは2つあります。1つ目はPHIのパントがワイヤーに当たったプレイです。この時は長いこと協議をした結果、ワイヤーに当たったことは観測できなかったと結論が出ました。結論の是非は置いておいて、判断を下すまでに時間がかかりすぎたことは減点です。結論の内容ですが、ワイヤーではなくても何かに当たってパントの軌道が変わったことは事実なので、蹴り直しを宣告するのが妥当だったと考えます。2つ目は退場者を出した乱闘です。プレイ後充分な時間があったにも関わらず、争いを止めれずTrent WilliamsとK'Von Walleceの退場に繋がりました。そもそもプレイが終わってからPHIの選手がずっとWR Deebo Samuelに絡んだことが発端です。この時、全体的に険悪な雰囲気がありました。審判もそれを察知したのか何度も笛を吹いていましたが、それでも両者は離れません。確かにこの時、両者ともに手を出してはいませんでしたが、その後乱闘などに発展する危険性を鑑みれば、笛を吹いた後に強制的に引き離すなどの措置をとる必要があったのではないでしょうか?結果的に審判の日和見によって近くにいたWilliamsが怒り、Walleceを投げることになりました。投げたWilliamsは当然悪いですが、これはプレイ後から止めるに充分な時間が経過していましたから、審判はより直接的な介入によって未然に防ぐべきだったと考えています。
   他の問題として、この試合ではSF側に不利な判定が何度かありました。イリーガル・コンタクトのようなくだらない反則(守備選手の接触という成立要件に対して、オートマチック1stダウンは罰則として重すぎる。ホールディングと罰則内容が同じため、実質的にホールディングの適用範囲拡大が起こっている)をとったりしていました。CB Wardの接触で取られるのであれば、PHIも同様に取られるプレイはあったでしょう。更に、それにフラストレーションを貯めたSFの選手が不用意なファウルをする場面もありました。このような試合で、言い合いを放置したのは審判が責められる理由になります。
   また、試合後に判明したことですが、何度かあったPHIのRT Lane Johnsonのフォルススタート見逃しがありました。SF守備の反則は割と細かくとったのに対してPHIには甘い判断は物議を醸します。また、SFのQB Josh Johnsonが怪我をしたプレイも、ルールに則ればラッフィングザパサーが適用される事例です。この見逃しも、不公平感を増しますね。
    中立であるべき審判がホームチーム有利な笛を吹いたこと、円滑な試合進行を行えなかったこと。この2つは非常に残念でしたね。ただ勘違いしないで欲しいことは、厳しい判定を出すことは問題がないということです。試合の中で一貫した基準が適用されているならば問題はありません。今回はそのバランスを逸脱したと見られる事例が多かったことが根本的な問題です。


Purdy負傷でSFは前提が崩壊
   SFはQBへの依存度が低いチームですが、だからといって誰でも良い訳ではありません。ここら辺を勘違いされている人がいたので、改めて明記します。QBに要求されるスキルや技術が多くないだけで、全く無いわけではないですからね。必要最低限のパスが通せないのであれば、用意したプランを継続することは不可能なのです。
   さて、SFはPurdy負傷で前提が壊れてしまいました。Purdyは肩の強い選手ではありませんが、判断が早く、思い切りの良さがあるのでダウンフィールドに投げ込むことを恐れません。そして必要とされるパス精度がありました。それによって、SFオフェンスはここまで上手く機能してきました。しかし、Josh Johnsonには必要最低限がありませんでした。特にパス精度の低さは問題でしたね。
   結果的にJohnsonも脳震盪で離脱となり、最後はRB McCaffreyがQBに入ることになりました。もうこれではどうしようもないですね。SF側は1Q早々に勝つための前提が崩壊してしまいました。プレビューでも書きましたが、前提が崩壊したら接戦の展開になることはありません。点差は仕方の無いものです


まとめ
   PHI攻撃もFred WernerをRPOのオプション対象にして、足を止めさせることでランで効果的にゲインするなど、SF対策が見られました。しかし、そもそも試合展開として些末なことになってしまいましたね。
   SF守備も当初は粘れましたが、ずっと止めるのは無理ですからね。仕方ないです。Purdyが早々に怪我をしたのはアクシデントでした。Johnsonも脳震盪で離脱してしまい、どうしようもなかったですね。怪我をしたプレイ自体も、そこまで時間のかかる想定のプレイではありませんでした。あれはSFの目論見を潰したPHI守備が上手だっただけです。
   そのPurdyはUCL断裂(肘の靭帯断裂)でした。再建手術を受けると、最短でも6ヶ月だそうです。恐らくトミージョン手術は受けない(トミージョン手術は、腱を切除して、骨に穴を開けて新しい腱を埋め込む手術で復帰までに2年かかる)でしょう。その期間ポジションが保証されることはありません。セカンドオピニオンを受けるそうですが、保存治療で結論を先延ばしにするのは危険でしょう。
   残念な展開になってしまいましたが、PHIが強かったのは事実です。5年ぶりのSBではどのような結果になるでしょうか。