・今回から何回かに分けてSuper Bowlの解説をしたいと思います。

・NEのDC PatriciaがDETのHCに就任しました。SB52は図らずも新旧DETコーチ対決でした


Butlerの不出場、狙われるRowe
   国歌斉唱で泣いていたButlerがまさかの不出場でRoweが先発となりました。ことの真相はわかりませんが、これが序盤の攻防に影響を与えました。
   PHIは右CBのRoweのマッチアップを積極的に狙い前進します。2つ目のTDはJefferyとのマンカバーで破れたために起きました。
   そんなRoweですが、レッドゾーンに入ってからは良いカバーを披露し、PHIは避けるようになりました。

OLの奮闘とゾーンラン
   この試合で最大の差はOLとDLの実力差でした。Folesは常にクリーンポケットに止まり、充分な時間を得ることが出来ました。
   Roweとのミスマッチで得点を取ったPHIですが、この有利を攻めることを早々と辞めて次のプランに移行しました。それがゾーンランです。
   ショットガン体型からのゾーンランは珍しいのですが、Pedersonはこれをしっかり形にしていました。NEは4-2-5を使っていたのですが、LBがOLのブロックに捕まってしまい度々ロングゲインを許します。これが3つのTDに繋がりました。
   このプランはその後もPHIは使おうとしましたが、外のランは徹底したコンテインで、プルアウトはDEのロングアームにより外展開になり、インサイドのランはDTのBrownとGuyがOLに勝ってタックルするようになります。これにより効果的ではなくなり、PHIはこのプランを途中で捨てることになります。

狙われる控え陣
   NEはアジャストでランを止め、ゾーンカバーの比率を高めることでPHIを追い詰めましたが、要所要所でビッグゲインを取られてしまい、これがほぼ失点に繋がりました。
   ClementへのパスからのロングゲインはSS Richardsの良くないカバーからタックルミスが絡んだものですし、CB BademosiはAgholorへのタックルミスで1stダウンを献上。LB FlowersはClementにTDキャッチを許しました。
   彼らはスナップ数は多くないものの敗因の一端となってしまいました。今年のNEは全体的に層が薄かったです。
   それを見つけて、目敏く狙ったPedersonはさすがです。「ミスマッチを作り出す」これが出来ていました。


戦術Ertz
   軸に据えたかったゾーンランはDTの頑張りによって潰されてしまいました。さらにNEは強度の高いメンバーをフィールドに出すことでPHIの選択肢を奪いました。ここで活躍したのがTE Zach Ertzでした。
   キャッチに優れるErtzですが、Gronkowskiのようにカバーを無視してヤードを稼げるタイプではありません。Ertzを活躍させるためのコールの工夫が見られました。Ertzがパスコースに出るタイミングを遅らせることで、前に上がったLBやSSからセパレートする場面が多かったです。
   最後のTDは「戦術Ertz」の集大成でしょう。大外にセットさせてFS McCourtyとのマンツーマン。相手チームを打ち破る個の力を見せつけました。この試合はJefferyが徹底的にマークされていたので、ここぞという時に頼れる選手がErtzだったのでしょう。


総括
   最後まで臆せず攻めたPedersonが凄いですが、それ以上に有利に立てたプランを捨てて別のプランを使う決断力に驚かされました。なかなか勝っているミスマッチを捨てるのは勇気のいることですが、相手がアジャストしてターンオーバーなどの致命的なミスをすることを避けたのだと推測しています。彼がAndy Riedの元でOCやっていたのが信じられません。師匠は反面教師か
   60分間戦えるアイデアとプランをしっかり準備していました。要所でトリックプレイを決める勝負強さも素晴らしかったです。Folesにドロップバックさせないことで負担を軽減するなど、QBに合わせてプレイブックを変える柔軟性がありました。そこにゾーンランやプルアウトを使ったランを組み込むなど、従来なら採用されなかったこともやってのけました。
   そしてFoles素晴らしかったです。最初のドライブから冷静で、OLを信じてパスを投げていました。素晴らしいタッチのパスも多く、実力を十二分に発揮していました。
   このPHIの戦術、チーム作りはこれから多くのチームに参考にされるかもしれません。NEに対抗する戦術がまた一つ生まれました。来年からも楽しみです