・今週はNo Fly Zoneと呼ばれるDENのパス守備を手玉に取ったBUFの攻撃を見ることにします。
BUFの攻撃とは
BUFはLeSean McCoyのランを主軸としたWCO(ウエストコーストオフェンス)と呼ばれるオフェンスです。このオフェンスは、フィールドを横にストレッチをしながら短いパスを繋いでいきます。その特性上ターンオーバーが少ないです。
WCOは80年代のSFが使い始めたことから、SFの位置するウエストコースト(西海岸)の名前がついています。
マンツーマンを破壊するクロスルート
このプレイでは、赤い線のようにWRがパスコースを取り、奥から2番目の選手(No.2とします)にパスを投げ、ロングゲインとなりました。マッチアップはマンカバーに定評のあるChris Harrisです。
赤丸の選手に注目してください。この選手はTEのポジションからflatルート(サイドラインへ向かって浅い角度で走るルート)を取りました。その内側をNo.2の選手が走ります。
このTEの選手がブラインドとなり、HarrisはNo.2WRを放してしまいました。その結果、マンカバーを敷いていたDENはフォローする選手がおらず、ロングゲインに繋がりました。
縦の関係を築くチョイスパス
チョイスパスとはカバーのつき方でQBが投げわけるパスのことを指します。WCOではPA (プレイアクションの意。ランを囮にしたパス)でのチョイスパスが重要となっています。
赤線がWRのコース、黄色がQBの動き、青線が囮にするランの向きです。
ほぼ同じ距離に3人が並んでいるのがわかると思います。これを俗に縦の関係といい、守備のカバーを見て誰に投げるのかを判断します。この場合は奥の選手がカバーより先行していますので、リードボールを投げれば通るというわけです。
敵を欺くTEディレイ
ディレイ レシーバー(遅れてパスコースに出てくること)といえばRBがその役割を担うことで有名ですね。逆にRB以外の選手はディレイで出るメリットは少ないです。そのためゴール前などの、守備が前がかりになりやすい状況ほど効果的になります。
これはTDを取ったプレイですが、11人全員を集結させて、絶対にラン!というように思わせています。ブロンコス側もそれを理解していますから、FSが後ろに下がっていますね。
今回も赤線がレシーバーのコース、青線が囮にするランの方向です。
ブロンコスの選手の動きを見て貰えばわかると思いますが、彼らは冷静にパスへの対処をしています。レシーバーも3人ですから充分に対応できるだけの人数がいます。
ここで、赤丸の選手に注目してください。そう、今回のキーマンです。彼はブロックをしていますよね?
写真のように、なぜかフリーになっています。これが今回のネタであるTEディレイです。
直前までブロックに参加していたことにより、守備側の意識からレシーバーではなく、ブロッカーとして認識されていたのです。それによって、本来なら彼をマークする選手は他の選手のカバーに行ってしまいました。
これは相当に上手いフェイクですね。やられたチームは意味がわからないと思います。素晴らしいプレイでした
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